第76回卒業式の校長式辞を掲載します
春の暖かい風が感じられるこの佳き日に、多くの方々のご臨席を賜り、大分県立聾学校第76回卒業式を挙行できますことは、大きな喜びであります。ただ今6名の卒業生に卒業証書を手渡すことができました。卒業生、保護者の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
さて、1月に盲学校と合同で行った「星の王子さま」の公演では、「東京演劇集団 風」と一緒に素晴らしいパフォーマンスを行うことができました。その中に私たちにとって大切な台詞がありました。それは、キツネが王子に言った、「心で見なくちゃ物事は見えない。肝心なことは目には見えないんだよ」という言葉です。
それは言い換えれば、「自分にとって本当に大切なことを見つける努力を続ける」ということだと思います。そして、「相手の気持ちをいつも想像することのできる人になる」ということです。人はひとりでは生きていけません。困っている人がいたら、手を差し伸べてください。そして、自分が困ったら、誰かに助けを求めてください。お互いが助け合いながら、感謝の気持ちを持ち成長していく。それを忘れず、大切なことを心で見ることができる人になってください。
今日この日を迎えられたのは、お父さんやお母さん、をはじめご家族、友達や先生方など、多くの人たちの支えがあったからです。そういう人たちに今日、普段なかなか言い表せない「ありがとう」の気持ちを伝えてください。
小学部2名の皆さん、中学部では新しい制服に身を包み、しっかり目標を立てて、頑張ってください。
中学部2名の皆さん、高校入試を突破して、高校生として自分の夢をかなえる3年間にしてください。
そして高等部2名の皆さん、高校生活はマスクの期間が長く、つらいことも多かったことと思います。私は文化祭で見た皆さんのステージ発表に感動し、確信しました。皆さんならきっと大丈夫です。就職してからも大きく成長できると思います。もしつらいことがあった時は、友達や先生方を思い出してください。そして元気な姿を見せに来てください。
結びになりますが、保護者の皆様にお礼を申し上げます。未来を見つめ、お子様への深い愛情をもって年月を重ねてこられた皆様に深く敬意を表します。また、在学中は多くのご支援、ご協力を賜りましたことに対し、全職員を代表し重ねて厚く御礼申し上げます。
卒業生の皆さん、いよいよ旅立ちの時です。「終わりは始まり」という言葉どおり、これからは、それぞれが新しい道を進んでいきます。皆さんが本校の誇りを胸に、健康で幸せな人生を歩むことができますよう祈念して、式辞といたします。
令和6年3月1日
大分県立聾学校長
藤澤 一郎